スレイマン船頭の小船はタルタオ島北端の大岸壁の下から、エンジンを切って磯沿いに流し始めた。
船から思い切り投げると、磯の手前にルアーが落ちるという距離だ。
船が流されて、近すぎたり遠すぎたり、という状態になると、何も言わなくても船頭がエンジンをかけ直してぴたりと合わせてくれる。
沖縄でGTルアー船をチャーターした経験のあるよねさんは、「いい場所流しますよ。なかなか玄人ですよ」と言う。
ルアーの客など乗せたことが無いはずなのに、魚の居場所は知っているということだな。
魚信は遠かったな。ポッパーやペンシルに稀にアタックがある。投げ倒して1時間に1回ぐらいね。
ルアーが水面だから魚が出てくるのは全部見えるのだが、これでもかというぐらいフックに乗らない。
50mはあろうかという崖の上を、巨大な鷲が舞っている。ハラジロウミワシ。すばらしくカッコイイな。
そのうえ、ものすごく沢山いるのにびっくりだ。30羽ほどの鷲の軍団がスパイラル状に天高く上っていくのが見えた。
そのうち暇な二羽が我々の釣りに興味深々。 水しぶきを上げて泳ぐルアーに、今にも襲い掛かろうかという姿勢で近くまで降りてくる。
さすがに見切って上がっていったが、もしも鷲なんか釣ったらえらいこっちゃ。
さて、あまりの釣れなさに、僕はたまらず最終兵器ワインドで、小型でもいいから釣ろうとしたのだが、これには追っても来ない。
見たこともないダートアクションに、魚が唖然として固まっているのかな?
船はタルタオ島本島を離れ、島の東沖に並ぶ離れ島を拾っていく。
岸ぎりぎりで一度掛かって振り切ったやつ、グレーの背中を見せて反転したやつ、ごく浅い場所でガバーッと出てそれでも掛からんやつ…
この日のバイトはよねさんに集中したのだが、アタックはあってもフッキングせずという状況に変わりない。
雨を避けてパクバラ近くの島に移動したが、こちらは泥濁りがきつくて釣れる気がしなかった。12:40に雨天納竿とした。あべし!
←2日間世話になったスレイマンの船
というわけで釣りの日程は終了。釣れないのに面白い旅だったな。
来タイしたばかりの嫁さんを3日間ほっぽらかして同行してくれたよねさん、本当にありがとう。
僕は学生時代に色々な離島に行ったけど、それぞれの島の思い出が、鮮明に心深く刻まれている。懐かしい。
たとえ釣れなくても、あの胸が高鳴るような素晴らしい感覚が、ここタイで再現できるなんて。
今まで日常に沈み、踏み出さなかった年月の長さよ。それを悔いる。
好きなことは今やらねば。愛を取り戻せ!
place : Ko Tarutao
2008年12月14日日曜日
アンダマン海探査釣行⑤ タルタオ島の断崖に鷲が舞う
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿