2009年4月2日木曜日

別れ Long Farewell② おばあちゃんから孫への手紙

関連ページ → 別れ Long Farewell

航起ちゃん
元気ですか。もうすぐ桜が満開になります。よい季節になります。
3月30日(月)とてもお天気のいい日。
亀は朝から庭を歩き回っておりました。芝生がみどり色になって きれいな花がいろいろ咲いていました。
お昼ごろ 横浜動物園の亀飼育担当の人(若い、40才くらいの人かな)がまっ白いトラックでやって来て
30分くらい亀と遊んでから大きな箱に入れて行ってしまいました。
亀はびっくりしたような顔をして黒い目をハ゜チハ゜チして悲しそうでした。
「今 日本には11匹しかいません。この子を加えても12匹。しかも繁殖は失敗してばかりです。
 動物園では こんな元気な亀に来てもらえて 嬉しいです!!」
何度もそう云いました。それと「よく今まで盗まれなかったですね。」と感心し、
自分がいままで見てきたマダガスカルホウシャガメの中でこれほど美しくて立派で大きくて
その上筋肉の発達のすごいのは見たことないと云いました。
庭中 羽が生えたみたいに走りまわっていたから、筋力の発達したのも理解できるというものです。
2009.1 TDL 091
けれど おばあちゃんはさみしくなりました。
お天気のよい日 庭をあっちにいったり こっちに行ったり歩いているカメを見ているとのどかで平和な気持ちになりました。
ああ一つ云い忘れました。
飼育係さんは亀のこうらをなでながら
「お前こんなにいい庭に住んでいたのか。動物園の亀舎はせまいぞ。わるいなあ」
申しわけなさそうに何度もいいました。
ママ、佳帆ちゃん元気でしょうか。
よろしくお伝え下さい。亀のことも話してあげて下さい。
おばあちゃんはコップに半分くらいの涙が出ました。
亀1匹いなくなるのがどうしてこんなに悲しいのだろうと不思議なくらいでした。
航起ちゃん 三年生になったら とても いそがしくなるでしょうね
体大切にして下さいね。
                            さようなら
               3月31日    おばあちゃんより

2 件のコメント:

  1. tokuhain - 2009年 4 月 2 日
    そういう訳だったんですね。
    元気な子孫を沢山残してくれると良いですね。
    それにしても、おばあちゃんが一番かわいそうだなー。

    momo momo - 2009年 4 月 3 日
    前の記事を見た時に、気になっていてお会いした時に伺おうと思っていたのです。
    寄付したのでしょうか?それとも法令で飼育も禁止の種だったのですか?
    長い間そこに居たものが、突然居なくなるのはとっても寂しいですね。
    しかし、本当に良く盗まれなかった・・・・

    @ KAZ。 - 2009年 4 月 6 日
    切ないけど家族の絆をひしひしと感じる手紙ですね。
    リュー様の文章の上手さは母親譲りですか(*^_^*)
    ホウシャガメ、私も一度会いたかったです。

    かめ担当 - 2009年 5 月 11 日
    初めまして。横浜市野毛山動物園の爬虫類担当です。
    ホウシャガメで検索していてこちらを見つけ、コメントさせていただきました。
    先日はホウシャガメを寄贈していただき、ありがとうございました。カメはとても元気にしています。
    昨日は初めてメスと同居させたところ、さっそく乗っていました。残念ながら交尾はうまくいかなかった
    ようですが、このぶんだとすぐに2世が誕生しそうです。
    おかげさまでこのたび、野毛山動物園は日本で初めてホウシャガメの繁殖に成功しました。
    これからもがんばって仔ガメを増やし、ホウシャガメを絶滅の危機から守って生きたいと
    思います。今後ともよろしくお願いいたします。

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  2. ☆ リュージョン - 2009年 4 月 3 日
    tokuhainさん、彼は(♂です)繁殖要員として動物園のバックヤードに入ります。横浜を経て上野だそうです。
    もう会うことはできないのです。いつまでも元気でいて欲しい。いつの日か、子供達に会いたい…
    横浜で、宝塚で、タイで、離れて住んでいる家族の目から、涙が止まりません。
    39年、欠かさず食事を与えたおばあちゃん(僕の母ね)、ご苦労様!
    今は辛いけど、いい選択だったと思うよ。

    ☆ リュージョン - 2009年 4 月 3 日
    momoさん、今では取引、飼育、全てが禁止だと思います。
    ワシントン条約批准前からの飼育である旨の証明書を沢山そろえての,、正規寄贈です。
    百年以上生き、成熟まで20年は掛かる種です。
    同じ種でもそこいらの子亀からは、また密輸の貧弱な個体からは繁殖できないのです。
    子亀ですらバブル期は1匹1,000万円を超え、今でも自動車が買える値段ですよ。(闇ペット業界密取引)
    成熟♂の価値といえば計り知れません。
    小学校の社会見学が毎年「ホウシャガメを見に行く」。何十人も庭にきて、後からお礼の絵入り文集が来る。
    そんな、有名なカメでしたが、無事今まで盗まれず、第二の人生に旅立って、少しほっとしています。
    あぁ、でも本当に、ある晴れた昼下がりに迎えがきたのね。あのドナドナの悲しいメロディーが…(ToT)/~

    ☆ リュージョン - 2009年 5 月 11 日
    かめ担当さま、いらっしゃいませ。
    「弟」がお世話になっております。
    このたびは2頭の誕生、誠におめでとうございます。
    国内初とは素晴らしいことです。そのうえ、めちゃくちゃカワイイですね。
    さて、「弟」の様子をお聞きできて、とても安心しました。
    なんとか繁殖のお役に立てそうですね。「本人」も燃えていると思います。
    この種の♂は、何歳から何歳まで繁殖可能なのか知識が無いのですが、大丈夫そうですね。
    甲羅をひっぱたいて、任務遂行をプッシュしてやって下さい。
    いつの日か、2世を見に行けることを願っております。
    よろしくお願いいたします。

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