2009年8月1日土曜日

シーバスロッド修理、愛の難作業

僕の手持ちで改造竿「大王8'9"」というのがある。→2008年10月の記事死蔵シーバスロッドをリビルドする
この竿、記事にある復活後すぐに、何とドアにフェルール(継ぎ手)を挟んで粉砕骨折、再度冥界入りとなってしまった。
その後のアンダマン海の7回にわたる戦いで、他の殆どの主力竿も破損。これではもう釣りにいけないじゃん!
灰の中から立ち上がるリバイバルプランの1つとして、僕はこの大王8'9"の復活に着手した。
この竿、今は逆並継2ピースなので、トップが元竿に被さるフェルールを持っている。
元竿側のコミ(♂)はグシャグシャに潰れた。トップ側の玉口(♀)は古傷の亀裂骨折を抱えている。さあどうする?
【フェルール再生①:コミの再形成】元竿を105mm切断して破損部分を廃棄、コミを再形成することにした。
105mmも切るとかなり太くなる。元のコミと同じテーパーと太さを、果たして手作業で複製出来るのか?
手回しのサンドペーパーがけのみで60mmの継ぎ重なりを確保できるところまで削る。削りすぎは許されない。
見えないコミと玉口の当たりは、コミにロウを塗って光り具合で確認できる。
精度は1/100mmか、もっと精密か…。削りと継ぎの確認を何十回と繰り返す。手はカーボンの粉で真っ黒だ。
ようやく、深くはまってカチカチ鳴かない、良い継ぎ具合に到達した。
だが、これでは新たに形成したコミ部分の肉厚が失われたわけで、振ったらココから折れてしまう。
そこで肉厚を再生する必要がある。コミの内径にピッタリ合う長さ80mmのインサートを作成・挿入しよう。
別の死に竿を切って、竿尻から何度も入れて直径とテーパーを試しながら削り、合致した所で接着・切断。
コミ側はこれで完成だ。

【フェルール再生②:玉口の補強】継ぎに押し込むと2本のクラックが不気味に広がる。口割れだ。巻き糸とエポキシだけでは補強しきれないと考えた。
そこで、プレミアの修理に使った手法、「パワーバルジ」を竿先から嵌め込むことにした。
別の死に竿から手頃な部分を切り出し、内径をペーパーで玉口外径に合わせ、扇風機旋盤で外観を整える。
そして接着合体。よし、これでもう口割れはシャットアウトできた。
さて、トップと元竿を継いでみよう。出来たぜ、どうよこの吸い付くようなフェルール!
芯と外周からの両面補強で強度も確保。失われたベンディングカーブはご愛嬌かな。
手と勘だけで挑んだ難作業フェルール再生、集中してやって半日がかりだった。
【塗装剥がし】22年前の竿なので、塗装がすっかり黄変、剥がれも目立つ。いっそ全部剥がしてしまうことにした。
ガイドを全部外し、スクレイパーで塗装をバリバリ剥がしていく。ブランクスを傷つけないように。時にはドライヤー併用で。
無傷で丸剥きにできたところで最小限のペーパーがけ。1200番までかけたら結構ピカピカだ。
これを再塗装するのではなく、無塗装のまま最後にワックス仕上げにすることにした。
【ガイド装着】トップガイドを含めて10個と多目にして、ニューガイドコンセプト配置で付けてみた。
手持ちの古いガイドの組み合わせなので、重々しい感じになってしまったが、まあいいか。
グデブロNCP-C番の赤一色で巻いてエポキシ2度塗り。垂れなくなるまで、手回し硬化待ち。ゼエゼエ。



【できぽん!】 無垢のカーボンの素肌に車用のワックスを塗って拭き込むと、竿は濡れたような渋い艶に包まれた。
ちょっと短くなったけど、「大王8'4"」ついに完成。
見よ22年の歳月を経て、新品のように蘇った情熱の赤揃え。燃えるね~。
オリジナル(Mr.Don Saltwater SW1303) の面影は、もうどこにも残っていない。
なぜにここまでして直すのか?それは、愛よ、愛。そう、愛は釣竿をも救うのよ。
そして気になる用途と対象魚は……とりあえずプラー・デーン(イトヨリ)かな(笑)。