2009.12.31のfishingのお話。
朝タルタオ島を発った船は、強い北東の風の中、ラウイ島西岸を目指した。
そこは1泊2日の旅程では到達できない、最も遠い海岸線。本土から72km。
昼前、ついにラウイ島北西端に着いた。素晴らしい光景だ。魅惑の荒磯が連なっている。
南に向かって船を流し、丁寧に磯際にルアーを投げ込んでいく。ここで釣れずしていったいどこで、というほどの期待を込めて。
しかし全く食わない。ダツしかいない。カタクチイワシ<グルクン<大型アジ類という連鎖が、丸ごとこの海域から抜けて他に行ってしまったようだ。
さらに災難が僕を襲う。途中、船の横揺れで、撮影中のカメラが大きく振れて、三脚ごと海底に消えていった。 全ての画像データとともに。
ブロガーとしては致命的損失だ。痛い。しかし、釣果が無いので画像無くても一緒と言う「負×負=正」思考でぐっとこらえる。
釣れないまま、船はラウイ島南西の珊瑚礁の湾に入った。青く透明な海の底に、一面の生きた珊瑚。ため息の出る美しさ。
水深2~3mの浅場にアンカーし、Desperadoを取り出してワンダーを投げてみる。
釣れる釣れる。入れ食いだ。チェッカード(フエダイ)、ハタ、バラクーダ、ダツ。
毎投釣れるだけじゃなく、1個のルアーに2匹食ってきたのが3度。手付かずの珊瑚礁ってこうなんだと、改めて豊かさを感じたね。
日没までここでゆったり過ごして帰途に着いた。
ほぼ道具を片付けた頃、船はラウイ島南西端の岬を回ろうとした。そこはトン島との海峡の出口コーナーにあたり、オォッと息を呑む好ポイント。
「あそこに寄せてくれ。」 僕は唯一片付けてなかったPREMIREを手にして、再び船首に立った。
キャプテンが静かに岬にアプローチした。しかしなぜか船は裏側の入り江に向かった。
ちゃうやろ、海峡側を表から攻めなきゃ、と内心憤慨したが仕方ない。そのまま裏から表を狙うような形のキャストになった。
1投目、ポッパーに魚がガバッと出た。プラー・モンの大型だ。初めて言わせて貰おう。それはGTと言ってよい大きさ。
「今の見たか?」「いや見てなかった」
ここで僕は焦った。船を一回外に出し、表からアプローチし直すべきだった。しかしそのままセカンドキャストを放ってしまった。
もう一回出た。キャプテンと助手が一斉に叫んだ「プラー・モン!」
今度はガシっとフッキングした。もの凄いファーストラン。やばいよ。岩を回り込んで走って行く。最悪の方向。
竿は立てたが、尚も竿を絞り込んだままジャーっと糸を持っていく。キャプテンは至急表側に船を付け直そうとするが、もう間に合わない。
こうなったら負け。根ずれで80ポンドリーダーがラインブレーク。あぁ、攻略ミス…。
本日唯一の、そして10数回にわたる僕のサトゥン遠征での初のGTは、行ってしまった。 辛い大晦日だった。
夜はアダン島でスウェーデンから来たピーターと飲んだ。
彼は40日間の休暇を、アダン島のテントとハンモックで過ごすらしい。その余裕をきいて、少し癒されたね。
そして満月の光に包まれ、遠くリペ島からの賑やかなカウントダウンの花火の音を聞いて、一人眠った。
人それぞれに、受け入れるべき人生が予定されていることがある。この日がそうだったかもしれない。
少なくとも人生は努力で変えられるなんて敗者は決して言わない。ただ受け入れることを知る。
そんなことを考えながら。
2010年1月15日金曜日
ラウイ島で大晦日
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Leo - 1 月 14 日
返信削除リュージョンさんこんばんは。
年末年始の遠征、お疲れさまでした。
痛恨の、ラインブレイク残念でしたね。
次回、リベンジ釣行の際にはご一緒できると多いなと思っています。
tokuhain - 1 月 15 日
ついに好敵手と接触ですね。
まあ、相手にも地の利、時の利がありますし、ある時は、こちらにもその利が巡って来ます。
まだ見ぬ好敵手の顔を想像しながら、次回に備えるってことでしょう。
年始に体調不良とか、お気をつけ下さい。
サトシ - 1 月 15 日
いや~日本は寒い寒いです~。1月14日大阪の最低気温氷点下1℃。ところで大晦日の海外現地釣行ご苦労様です。それにしてもカメラは痛かったですね。まあ、しゃあないか。こっちは1月3日より始動。早々にチヌ45cm級2枚。いつもいる人にヘラヘラをもらって1枚、イ貝むき身で1枚でした。ヘラヘラは、なんと・・・ボイルするんよ。そうすると冷凍して保存も効くし、生より食いもいいそうな・・・。色んな工夫があるんだなあ。改めて勉強になりました。今年もよろしくね。釣って釣って釣りまくりの人生じゃー。
☆ リュージョン - 1 月 16 日
返信削除Leoさん、土日だけでラウイ島に行く方法を考案しました。
もう誰もついて来られないような、尖がった一発勝負。
リベンジとはそういうものです。
tokuhainさん。もうちょっと触らせてほしかったです。
あとは魚の居るシーズンに行かないと話になりませんが、
荒れる時期に居る、静かな時期に居ない、とかいう厳しい情報も入手(困った…)。
サトシさん、初釣り2枚おめでとうございます。
ヘラヘラボイルとはやりますね。何とか2月~3月の最低水温を乗り切ってください。